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SGLT2阻害薬とは?
ルセフィ・フォシーガなど内服薬の効果・副作用・注意点

「尿から糖を出して痩せる薬」として紹介されることのあるSGLT2阻害薬。 でも、日本で承認されているのは糖尿病などの治療薬です。 仕組み、副作用、そして糖質制限との併用リスクや適応外使用の注意点を、公的な情報をもとに整理しました。

📚 本記事は、PMDA・日本糖尿病学会・厚生労働省などが公開している情報をもとに構成しています。
調査・最終更新:2026年7月16日|執筆・編集:真柴けい

SGLT2阻害薬は、腎臓での糖の再吸収を抑え、余分な糖を尿として体の外に出す飲み薬です。 糖が尿に出ることから「飲むダイエット薬」として紹介されることもありますが、 日本で承認されている主な効能・効果は2型糖尿病などで、 美容・ダイエット目的での使用は「適応外使用」となります。 ルセフィやフォシーガなど複数の製品があり、承認された効能や条件は製品ごとに異なります。 この記事では、SGLT2阻害薬がどんな薬なのかを、仕組み・種類・副作用・注意点に分けて整理します。

この記事は医師監修記事ではありません

PMDA(医薬品医療機器総合機構)の医薬品情報、日本糖尿病学会の資料、厚生労働省の案内をもとに、 MEDIORA編集部が作成しています。診断や治療の代わりとなる情報ではありません。 服用の可否や用量は、必ず医師の診察を受けて判断してください。

SGLT2阻害薬とは(基本情報)

SGLT2阻害薬は、腎臓の「近位尿細管」にあるSGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)という たんぱく質の働きをブロックする飲み薬です。SGLT2は、いったん尿に出た糖を体内に戻す(再吸収する)役割を持っています。 この働きを抑えることで、余分な糖を尿として排出し、血糖値を下げます。

種類SGLT2阻害薬(経口血糖降下薬の一つ)
代表的な製品ルセフィ、フォシーガ、ジャディアンス、スーグラ、カナグル、デベルザ など
用法1日1回、内服(製品により異なる)
国内の主な承認効能2型糖尿病 ほか(製品により異なる)
処方医師の処方が必要(市販なし)

日本で承認されている効能・主な種類

日本で承認されているSGLT2阻害薬は複数あり、有効成分と販売名の組み合わせが異なります。 いずれも医師の処方が必要な医療用医薬品です。

一般名(有効成分)主な販売名
イプラグリフロジンスーグラ
ダパグリフロジンフォシーガ
ルセオグリフロジンルセフィ
トホグリフロジンデベルザ/アプルウェイ
カナグリフロジンカナグル
エンパグリフロジンジャディアンス

※上記のほか、後発品(ジェネリック)もあります。承認されている効能・効果は製品ごとに異なります。

承認内容は製品・病気ごとに異なる

多くのSGLT2阻害薬は2型糖尿病の治療薬として承認されています。 これに加えて、製品によっては1型糖尿病、慢性腎臓病、慢性心不全などにも承認されているものがあります (たとえばフォシーガは、2型糖尿病・1型糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病に承認されています)。 承認された効能・効果、対象年齢、用量、腎機能に関する条件は、製品ごと・疾患ごとに異なります。 なお、ルセフィは2026年3月に、10歳以上の小児の2型糖尿病に対する用法・用量が追加されました。 いずれも「痩せるための薬」として承認されているわけではありません。

なぜ体重が減ることがあるのか

SGLT2阻害薬を飲むと、本来は体に戻される糖の一部が、尿と一緒に体の外へ出ていきます。 尿中にブドウ糖が排泄されることでエネルギーが失われ、治療にともなって体重が減少することがあります。 ただし、体重変化には水分量の変化も関係し、減少量には大きな個人差があります。

  • 尿にブドウ糖が出ることで、その分のエネルギーが体外へ排出される
  • あわせて水分も出やすくなる(利尿作用)

尿から出る糖の量には限りがあり、「必ず」「◯kg」痩せると言えるものではありません。 水分が抜けることによる一時的な体重変化と、脂肪が減ることは分けて考える必要があります。

主な副作用と重大な副作用

SGLT2阻害薬は「尿に糖を出す」「尿量が増える」という作用の特性から、特有の副作用があります。 飲み始めや体調によって出やすくなります。

比較的みられる副作用性器感染症、尿路感染症、頻尿、尿量増加、口の渇きなど
重大な副作用低血糖、腎盂腎炎・敗血症、脱水、ケトアシドーシス、外陰部・会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽) など

尿路・性器感染症は、尿に糖が含まれることで細菌やカンジダが増えやすくなるためにおこります。 症状や予防方法については、処方時に医師の説明を受けてください。 尿路感染症は、腎盂腎炎や敗血症に進むことがあるため、高熱や背中の痛みなどがあるときは早めに受診しましょう。

脱水にも注意が必要です。尿量が増えるため体の水分が減りやすく、 脱水が進むと、めまいやふらつき、まれに血栓・塞栓症(脳梗塞など)につながることもあります。 とくに高齢の方、利尿薬を使っている方、暑い時期や体調不良のときは注意してください。 脱水予防のため、医師から水分制限を指示されていない場合は適切な水分摂取を心がけ、 慢性心不全や慢性腎臓病などで水分量の指示を受けている人は、自己判断で増やさず主治医の指示に従ってください。

まれでも重大:こんな症状はすぐ受診

吐き気・嘔吐、食欲低下、腹痛、強い口の渇き、強い倦怠感、息苦しさや速く深い呼吸、意識の異常などは、 ケトアシドーシスの症状のことがあります。血糖値がそれほど高くなくても起こることがあります。

また、陰部や会陰部に痛み・圧痛・赤み・腫れがあらわれ、発熱や強い倦怠感をともなう場合は、 外陰部・会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)の可能性があります。 発熱の有無にかかわらず、急速に悪化する場合は危険です。

いずれも命に関わることがあります。服用を中止し、ただちに医療機関を受診してください。

特に注意:極端な糖質制限・絶食・シックデイ・手術

極端な糖質制限、絶食、食事摂取の不足、脱水、感染症、インスリンの過度な減量などは、 ケトアシドーシスのリスクを高めることがあります。美容・ダイエット目的であるかどうかにかかわらず、 自己判断で極端な食事制限を行わないでください。

正常血糖ケトアシドーシスのリスク

極端な糖質制限や絶食とSGLT2阻害薬を併用すると、血糖値がそれほど高くなくても、 体が脂肪を過剰に分解して「ケトアシドーシス」という危険な状態(正常血糖ケトアシドーシス)を 起こすことがあります。血糖値が正常に近いため気づかれにくいのが特徴です。 日本糖尿病学会も、SGLT2阻害薬の適正使用に関する資料などで、SGLT2阻害薬はケトン体の産生を増やしうること、 シックデイや手術前には休薬が必要であることを説明しています。

発熱・下痢・嘔吐・食事がとれないなどのシックデイでは、いったん服用を中止するよう指示されることがあります。 また、手術や絶食をともなう検査の前には、事前の休薬が必要になる場合があります。 服用中であることを医師や医療機関に伝え、休薬のタイミングと再開時期を確認してください。

美容・ダイエット目的は「適応外使用」

糖尿病などの適応がない人が、美容・痩身・ダイエットを目的にSGLT2阻害薬を使う場合、 それは国内で承認された使い方ではない「適応外使用」にあたります。 自由診療として処方している医療機関もありますが、その位置づけを理解しておくことが重要です。

適応外使用を検討する場合は、次の点について医師から十分な説明を受けたうえで判断してください。

  • 承認された使い方ではないこと、そのリスク
  • 期待できることと、確認されていないこと
  • 副作用(脱水・感染症・ケトアシドーシスなど)が生じた場合の対応
  • 医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があること

GLP-1/GIP関連薬との違い

糖尿病治療薬には作用の異なる複数の種類があります。 SGLT2阻害薬のほかに、GLP-1受容体作動薬(リベルサスなど)や、GIP/GLP-1受容体作動薬(マンジャロ)も取り上げられることがあります。

分類主な作用剤形の例主な注意点
SGLT2阻害薬尿中へのブドウ糖排泄を増やす飲み薬脱水、性器・尿路感染症、ケトアシドーシスなど
GLP-1受容体作動薬血糖に応じたインスリン分泌の促進、食欲や胃内容排出への作用など飲み薬・注射消化器症状、膵炎など
GIP/GLP-1受容体作動薬GIP受容体とGLP-1受容体に作用注射消化器症状、低血糖、膵炎など

これらの薬の承認された適応は製品ごとに異なり、美容・ダイエット目的の使用は適応外使用です。 リベルサスについては、リベルサスの基礎知識ページで詳しく解説しています。

使用に注意が必要な人

体質や状態によっては、SGLT2阻害薬を使用できない、または慎重な判断が必要な場合があります。 代表的なものを挙げますが、最終的な可否は必ず医師が診察のうえ判断します。

  • 本剤の成分に対して過敏症の既往がある人
  • 脱水を起こしやすい人(高齢の方、利尿薬を使用している人など)
  • 尿路・性器感染症を繰り返している人
  • 極端な食事制限をしている人、食事が十分にとれない人
  • ほかの糖尿病薬(インスリンなど)を使用している人
  • 腎機能が低下している人(使用の可否や期待できる効果は、製品と治療対象の病気によって異なります)
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある人(原則として使用できません)、授乳中の人(使用や授乳の継続について医師の判断が必要)

妊娠・授乳や腎機能に関する扱いは製品ごとに異なります。 受診時には、現在の健康状態、既往歴、服用中の薬やサプリメントを正確に伝え、各製品の電子添文と医師の判断に従ってください。

個人輸入・個人間売買の危険性

SGLT2阻害薬は国内では医師の処方が必要な医療用医薬品で、市販薬として自由に購入できるものではありません。 制度上、一定の範囲で個人使用のための輸入が認められる場合はありますが、 個人輸入代行やフリマアプリ、SNSなどを通じて入手した医薬品には、次のような危険があります。

安全のため国内の医療機関で処方を受ける

海外製品は、日本で品質・有効性・安全性が確認されているとは限りません。 偽造品や不適切な保管、表示と異なる成分量などのおそれがあります。 医師の管理なしに使用すると、脱水やケトアシドーシスなどの副作用に気づけなかったり、対応が遅れたりします。 また、こうした経路で入手した医薬品による健康被害は、 医薬品副作用被害救済制度の対象にならない場合があります。 安全のため、国内の医療機関で診察と処方を受けてください。

よくある質問

SGLT2阻害薬はダイエット薬ですか?

いいえ。SGLT2阻害薬が日本で承認されている主な効能・効果は2型糖尿病です (製品によって1型糖尿病、慢性腎臓病、慢性心不全なども承認されています)。

これらの適応がない人が美容・痩身・ダイエット目的で使用する場合は適応外使用にあたります。 日本国内において、美容・ダイエットを目的とした使用について承認された効能・効果、用法・用量はなく、 その目的での有効性と安全性は国の承認審査を経ていません。

ルセフィやフォシーガはどう違いますか?

どちらもSGLT2阻害薬という同じ種類の薬で、腎臓で糖の再吸収を抑えて尿から糖を出す仕組みは共通です。 有効成分(ルセフィはルセオグリフロジン、フォシーガはダパグリフロジン)や、 承認されている効能の範囲、用量が製品ごとに異なります。

フォシーガは2型糖尿病に加え、慢性腎臓病や慢性心不全などにも承認されています。

SGLT2阻害薬でどのくらい体重が減りますか?

尿に糖が排泄されることで緩やかな体重減少がみられることがありますが、 変化には個人差が大きく、一律に「◯kg減る」とは言えません。

効果は体格や食事・運動などによって異なり、飲むだけで大きく痩せる薬ではありません。

糖質制限をしながら飲んでも大丈夫ですか?

注意が必要です。極端な糖質制限や絶食とSGLT2阻害薬を併用すると、 血糖値がそれほど高くなくてもケトアシドーシス(正常血糖ケトアシドーシス)を起こすことがあります。

日本糖尿病学会も、極端な糖質制限との併用は推奨していません。 自己判断で食事を極端に制限しないでください。

SGLT2阻害薬は市販されていますか?個人輸入できますか?

SGLT2阻害薬は医師の処方が必要な医療用医薬品で、薬局で市販されていません。 個人輸入や個人間売買で入手した医薬品は、品質や真偽が保証されず、 健康被害が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

必ず医療機関で処方を受けてください。

まとめ

SGLT2阻害薬(ルセフィ・フォシーガなど)は、腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑え、尿中への排泄を増やす医療用医薬品です。 承認された効能・効果は製品によって異なり、2型糖尿病のほか、1型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病などに用いられる製品があります。 美容やダイエットを目的とした薬としては承認されていません。

主な注意点には、性器・尿路感染症、脱水、低血糖、ケトアシドーシス、腎盂腎炎や敗血症、 外陰部・会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)などがあります。 極端な糖質制限、絶食、食事摂取の不足、脱水、感染症などはケトアシドーシスのリスクに関係するため、 自己判断で食事や服用方法を変更しないことが重要です。検討する際は、次の点を確認しましょう。

🔍 検討前に確認したいこと

  • 自分が承認された使い方の対象かどうか(適応外使用かどうか)
  • 医師による診察と、副作用(脱水・感染症・ケトアシドーシス)が出たときの対応体制
  • 水分補給や食事について、どう気をつければよいか
  • 薬代以外を含めた総額と、中止・変更の条件

薬を使うかどうかは、体重やBMIだけで決められるものではありません。 健康状態や既往歴、使用中の薬を医師に伝え、十分な説明を受けたうえで判断することが大切です。

【医療情報に関する注意事項】
本記事は、SGLT2阻害薬に関する一般的な情報の提供を目的としており、 特定の治療や医薬品の使用を推奨するものではありません。 また、医師による診断・治療・処方に代わるものではありません。 医薬品の適応、効果、副作用には個人差があります。 治療を検討する場合は、医療機関を受診し、医師の説明を受けてください。 掲載内容は2026年7月時点の公開情報をもとに作成しています。 最新情報はPMDA、厚生労働省および各医療機関の公式情報をご確認ください。
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この記事の執筆・編集 真柴けい(MEDIORA編集責任者)

医療系国家資格を保有し、医療機関の美容部門(自由診療)の立ち上げ・運営に携わった経験があります。公的機関の資料と各クリニックの公式情報を確認したうえで執筆・編集しています。

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